第7章 観察を促進 ・サポートする術
第7章 観察を促進 ・サポートする術
1 書く
◇観察日記
書くことが苦にならない人にお勧めします。
良く流れてくる想念を 「今日の想念」 「今日の判断」として書き綴ってみましょう。
前章まで述べたさまざまなエクササイズ・チェック法の実践の成果を、少しずつ書き溜めていくといいでしよう。
これが習慣になると、見えていなかった自分のさまざまな側面に意識的に気付こうとするので、観察が順調に進み、またそれが励みにもなっていきます。
効果
1 書くということで、頭の中で沸騰していた想念が対象化される。
今現在沸縢している想念でも、書き殴っていくうちにエネルギーを失い、沈静化することが多いようです。
2 想念が整理され、今のテーマがより客観的に見やすくなる。
問題点
1 観察日記のつもりが反省日記になりがち。
「今日もこんなことを思ってしまった」
「またこんな想念が流れてきた。全然観察できていない」
などと自分を責める言葉を書き連ねてばかりでは観察の意味がありません。「反省」も、ある想念に対する善悪判断の想念ですから、観察が片手落ちです。今まで、たとえ自分勝手に生きてきて迷惑をかけていたとしても、そこに気付いたことが重要なのですから、感謝して受け止めて下さい。
2 書いたことによって満足し、停滞する。
「書く」という行為はただの作業であり、それを通じて何らかの気付きが得られなければ、日課をこなしているだけになります。
また、何がしかの気付きがあり、その感動に浸っていると、それが新たな価値観となって、囚われてしまいます。
真に血肉になったものは、たとえ忘れたとしても決してあなたから消えることはありません。
いつでも呼び出せますから、安心して捨てていいのです。
3 分析にはまる。
理屈っぼい人に多いのですが、ある想念がなぜ起こされてくるのか、どういう点で鏡関係にあるのか、などを分析し出すと、答が出なくなることがあります。
分析に熱中している姿は観察できていないのです。答、つまり「納得」を求めようとしても出てきた答は、とりあえず今の時点での一面的理解に過ぎません。
納得の反対には疑問がありますから、納得を求めれば求めるほど、疑問を引き付けます。
「とりあえずのところで保留にしておく」 というスタンスを取り続けて下さい。
保留にしておくと、枝葉が広がりますので、多面的な理解が可能となります。
特に 1の「反省日記」は陥りがちですが、その対策としては、同化しないこと ・離れていること、を根気よく統けることです。
具体的には、エクササイズ0のように、
「もう私は死にたい」 → 「彼 (女)に『死にたい』という想念が流れた」
と 3人称を使い、徹底的に他人事のように扱うことで、いくぶん余裕ができます。
どっぷり浸らないで済みます ( 他にも選択肢がありうることに気付く) 。
余裕があれば 「想念小説」 にアレンジして、ある男 (女) の成長過程を書き綴って下さい。虚構の世界だと対無化できれば、自分に嘘をつくことなく書けますし、逆に観察するのが楽しくなるかもしれません。
◇認識瞑想
この方法は、あなたの価値観 ・信念・固定観念がどれくらい凝り固まっているかをまず把握し、さらにその枠を広げていこうとするのに非常に効果があります。
あなたが今、関心を持っているテーマ (概念) を文字にして、何百回でも繰り返し書きます。
たとえば愛、善悪、宇宙、緊張、恋人、会社、人生、財産、怒り・・・さまざまなものが考えられます。
ノートを用意し、片方のページにゆっくり丁寧に、一字一字書いて下さい。
40分〜1時間位かけて百文字くらいを書くペースがいいでしょう。
その際、たとえば「愛」なら、愛に関してあなたが連想したこと、考えたこと (例えば「思いやり」とか「夫婦」とか) を、明確に意識しながら、ゆっくり綴っていきます。
これを続けるうちに、ある時突然、予想もしなかった新しい概念が浮かんできます。
愛を意識しながら、 「暗黒」 「憎悪」 などを連想したとしてもいいのです。
どんなものでも排除しないで下さい。
このように何らかの言葉、連想・イメージが浮かぶたびに、それを隣のページにメモしておき、また元に戻って書き続けます。
これらを振り返って見直してみると、まず、あなたがあるテーマに関していかに特定の片寄った思い込みに満ちているかに気付くことが出来ます。
また、この方法を繰り返すうち、あなたはあるテーマに関して別の側面からものを見ることが出来るようになります。
自分の固定観念を打ち破り、多面的な認識をすることが可能となります。
書いているうちに今までとは違う、意識の広がった状態 (一種の瞑想状態)になるためです。
あなたの意識の世界の枠を広げるためにも、どんどん実践して下さい。
これを実践する際のコツは、想念観察と同じく、焦り、意気込み、力みを出来るだけ排除し、リラックスしてやることです。
「何も出てこないじやないか」「どのくらい書いたら出てくるんだ」といった想念もさらりと流しながら、習字や写経をしている感覚で、淡々とやって下さい。
「恋愛」をお題として、認識瞑想の一例を紹介しておきます。
恋愛 → 友情以上の分かち合い → 宇宙がより成長 ・進化するために、感情を持つすべての生命に与えた美しい贈り物 → 宇宙が進化するための楽しい遊び → お互いが相手を深く理解することにより進化しようとする行為
→ 宇宙の芳しい香 → お互 が一体となって創作する芸術 → お互いが一体となることにより、全体の進化に結び付くこと → お互いが一体となることにより、お互いの魂の光が、より強力になること
→ 宇宙が進化をするための、生命体と生命体との縁 → お互いが相手に対して深い感謝と畏敬の念が起こってくる状態 → 魂の側から他の生命体を見た時、ごく自然に、特別の磁力のように引き合う現象の起こる者同士の、深い分かち合い ・・・
このように、具体的な言葉がすらすら出てくる必要などありません。何かイメージが浮かぶ時は漠然としていることもありますし、慣れないうちは、相当時間をかけてもポツリポツリとしか出てきません。自分のさまざまな側面を「宝探し」するよぅな感覚で、焦らず気長に、マイペースでやってみて下さい。
※ちなみに私は書くという行為が苦手なのでしていません。自分が心地よいと感じる処で、好きなドリンクを持ってボ~っとたたずんでいる事の方が自分には合っています。
大自然の中だと特に気持ちいいです。
日常のことは考えず、なるべく一人でボ~っとする時間を過ごすこともオススメします。